Allantus nakabusensis Takeuchi, 1929 サクラセグロハバチ

Allantus nakabusensis

Allantus nakabusensis

サクラにいたハバチの幼虫を飼育しておりましたが、このたび羽化しました。

(このハバチをはじめ黒色で淡色紋を持つハバチは、紋の形状や範囲に変異があります。複眼の色は乾燥に伴う変質によると思われます。ハバチの複眼はアオメツマグロハバチのような一部の例外を除いて通常黒ですが、乾燥すると色が抜けることがあるようです。このハバチと斑紋が似たものは同属のツツジセグロハバチ A. rhododendriのみです。こちらも変異があるようですが、今回は幼虫からの飼育ですのでサクラセグロで間違いないと思います。

サクラセグロハバチの所属については問題が残っています。日本産広腰亜目の食草(III)で奥谷禎一先生が書いておられるように、昔からAllantusとは別属という意見がありましたが、長い間ちゃんと検討されていませんでした。
その後、1999年に中国で新属Stenemphytusが記載され、サクラセグロハバチも同時にその属に移されました。
ところが、2003年にはAllantus属の新種として、サクラセグロハバチの近縁種と思われるツツジセグロハバチ A. rhododendri が記載され、Allantus属の検索表中にサクラセグロハバチも含まれています。この中にはStenemphytusについては全く触れられていません。
というわけで、Stenemphytus属の模式種とサクラセグロ、ツツジセグロの3種をそろえて再検討が必要と思われますが、「大阪のハバチ・キバチ類」の作成時にはそこまでできず、Togashi (2003)に従う、という形になっています。
Wei, M. & Nie, H., 1999. A new genus and three new species of Allantinae (Hymenoptera: Tenthredinidae) from China. Journal of Central South Forestry University, 19(3): 15-18.
Togashi, I., 2003. A new species of the genus Allantus Panzer (Hymenoptera: Tenthredinidae) feeding on Rhododendron reticulatum D. Don (Ericaceae) in Japan. Proc. Entomol. Soc. WAsh., 105(4): 896-900.

by Arge様)

2009年5月中旬採集 東京都府中市/撮影者:Hepota様


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