Monthly Archives: 2月 2012
Acrolyta sp. Acrolyta属の一種
種不明その1。林道沿いでリョウブの葉にマイマイガの幼虫が止まっていました。多数の白い繭の塊の上に乗っていたので、体内寄生蜂が寄主から脱出した後だと思いました。近くに小さな蜂が止まっていた(上写真矢印)のは偶然でしょうか。
マイマイガ幼虫は時々頭を左右に振ってあたかも繭をガードするかのように威嚇するものの、歩行能力は奪われているようでした。
葉ごと採集して持ち帰ると、10日後に繭から小さな寄生蜂が羽化しました。その間にマイマイガ幼虫は斃死しました。(採食、移動、脱皮など一切なし)
なにしろ小さな蜂なので、接写するのも一苦労でした。(死骸を1mm方眼紙上で撮りました。)
(画像のハチは、ヒメバチ科トガリヒメバチ亜科の一種です。触角の形から、Acrolyta属の一種ではないかと思います。トガリヒメバチ亜科の小型の種には、サムライコマユバチの繭に寄生するものが多くいます。 by こにし様)
【1】マイマイガ幼虫(ブランコケムシ)の体内にコマユバチ♀(ブランコサムライコマユバチ?)が産卵
【2】育った蜂の子が毛虫の体外に脱出したのち営繭。
【3】その繭を狙ってトガリヒメバチ♀(Acrolyta sp.)が産卵して二重寄生が成立。
という複雑なストーリーなのですね。
繭塊の寄生率が100%とは限りませんので、羽化した蜂を一匹ずつ丹念に調べるべきでしたね。ざっと見てどれも同じ感じの蜂だったので、数匹を写真に撮っただけで全て処分してしまいました。葉上に見つけた際に繭塊の近くでウロウロしていた小さな蜂(当初は蝿かと思いました)も今思うと気になります。
2009年8月初旬 林道(標高約560m地点)@山形県/撮影者:しぐま様
Lasioglossum apristum (Vachal, 1903) ニジイロコハナバチ
山道沿いのアジサイ類に、体長3mm程度のコハナバチが来ていました。(ニジイロコハナバチではないでしょうか。腹部の色は変異があるようです。腹部がオレンジ色の種はニジイロコハナバチだけではないと思いますが、可能性は高いと思われます。 by 管理人) 2009年8月22日 栃木県鹿沼市/撮影者:さびきこり様
Ecdamua nambui Kamijo, 1979
種不明その1。我が家の庭で撮影したコバチです。体長は3.0mm。
(写真のオナガコバチは写真で見る限り Ecdamua nambui Kamijo (和名はたぶんついていない)だと思います。 by 長瀬博彦様)
2009年8月25日 東京都世田谷区西部/撮影者:アーチャーン様
Eopompilus internalis (Matsumura, 1911) フタスジクモバチ
体長15ミリ前後、腹部第3節に白色の細い帯状紋があり、後肢脛節には連続したトゲが見られます。翅は前翅は先端3分の1ほどが、不明瞭ですが黒く曇っており、後翅の先端も少し黒くなっています。この後小型の蜘蛛を狩り、珍しく前進して運んで行きました。(複眼内縁に白帯があり、羽がかなり曇っていることからフタスジクモバチの可能性が高いと思われます。同じ属ではコフタスジというのがいるのですが、明らかに小型で、羽の曇りは薄いそうです。 by 管理人) 2009年8月2日 佐賀市富士町市川/撮影者:ヒゲおやじ様
Poecilogonalos fasciata kibunensis Uchida, 1929 キスジセアカカギバラバチ
薄暗い林間です。花の撮影で出かけた折、道端の野草の葉上で見つけたもの。体長は12mm位と記憶してます。(寄生蜂の一種なのですが、非常に特徴的な寄生の仕方をします。こちらのサイトに詳細な説明がありますのでご覧下さい。 by 管理人) 2011年6月22日 東京都西部/撮影者:ponchan様
しばらく観察していると,いろいろな植物の葉に何度も卵を産んでいるように見えて不思議に思いましたが,不思議な寄生をするハチのようで納得しました。22日,現場を見に行ってきました。キスジセアカカギバラバチはいませんでしたが,植物は特定できました。 キスジセアカカギバラバチのとまっていた葉はヒヨドリバナで,近くに生えている卵を産んだと思われる植物はヤクシソウ,ヤマノイモなどでした。残念ながら,卵の方は見つけられませんでした。
(本種の生態については、1932年に寺西暢氏による報文があり、主にイタドリに産卵するがタケ・キノハタシダにも産卵し、卵は直径0.12mm、1雌の産卵数が4500余りであることを明らかにしています。ちなみにカギバラバチの和名は、寺西氏による命名です。 by さびきこり様)
(カギバラバチと言えば、スズメバチに寄生することが知られていますが、このキスジセアカカギバラバチは、アサギマダラを寄主とするマダラヤドリバエ(Sturmia bella)に寄生するようです。このような論文(英文)を見つけました。
アサギマダラを寄主とするマダラヤドリバエとキスジセアカカギバラバチの寄主-寄生者関係
by 管理人)
2009年8月 撮影者:kuwachan様
Colletes esakii Hirashima, 1958 エサキムカシハナバチ
家の裏の土手に無数のハチがブンブン飛んでいます。沢山の穴を開けて中の土を掘り出しており、土手がどんどん崩れています。刺すハチではないということですが、土手が崩れるのは困ります。殺虫剤で殺すのではなくどこかに引っ越してもらうような方法はないでしょうか?/撮影・投稿者:shin様(2014年8月投稿)
(写真のハチは、エサキムカシハナバチのようです。引っ越しについては、過去に事例はないと思われます。by 管理人)
姫路市の書写山の山道でムカシハナバチの一種を見つけました。初めて見る種類です。2ヶ所の山道脇の粘土質の斜面に営巣していました。体長11~12ミリで胸部の毛は褐色。エサキあたりかと思いましたが、分布が限られているようですね。この蜂の営巣地には、シロモンムカシハナバチヤドリと思われる蜂が2頭、巣穴を伺っていました。
(エサキムカシハナバチの特徴は、「腹部第1節の基部が黄色がかった濃い毛で広く覆われ、頭部と胸部に黒い毛がない。」となっています。この特徴と一致するのでエサキで間違いないと思います。最新の分布情報はこの論文が参考になるのではないでしょうか。
Biological Studies of Colletes esakii Hirashima in Kitakyushu City (Hymenoptera: Colletidae)
by 管理人)
2009年8月 兵庫県姫路市/撮影者:ヒゲおやじ様
Allantus luctifer (Smith, 1874) ハグロハバチ
ハグロハバチを飼育してみたところ、サクラセグロハバチとそっくりであることがわかりました。試しに終齢幼虫を枯れ木の上に置いてみたところ枯れ木に潜りました。土の上に置いてみたら、土にも潜りました。どっちでも良いみたいです(1枚目の写真)。
サクラセグロハバチも同じかも知れません。前回の報告で誤った印象を与えてしまったような気がするので、確認がとれたら報告したいと思います。
成虫写真は、今回飼育した個体で、葉っぱの上に置くと身繕いを始めたので、そのとき撮影しました。2枚目の写真は、お腹に白い模様が無かったので♂だと思います。3枚目の写真は、白い模様があるので♀だと思います。2009年 撮影者:Hepota様
Chrysis ignita Linnaeus, 1758 リンネセイボウ
5mmのセイボウの尾端です。やはりこの位の大きさになると尾端の歯状突起もかなり弱く現れるのでしょうか。(リンネセイボウは、資料によると4~15mmとかなり幅があります。腹端部の歯状突起が、体長によりどの程度変化するのか比較したことはありませんが、そのような傾向があるのかもしれませんね。 by 管理人) 撮影者:蘆様
Epyris sp. Epyris属の一種
種不明その1。トタテグモの古巣と思われる崖地の横穴に、土塊や小枝などを運び込んでいました。
この穴を掘り起こすつもりでしたが、残念ながら、ムカデに先を越されて、穴の中のモノは食べられてしまったようです。体長12mm程度です。この時点(写真下)で、穴の入口から5cmくらいまで埋められていました。夜には、ほぼ入口まで埋まっていました。かなりの物量を運び込んでいます。運び込んでいる姿は、コオロギバチが巣穴を塞いでいる様子に似ていて、穴の近くを忙しなく動き回っていました。翌朝には、トビズムカデが刺さっていたので…穴の中には、ムカデが好むモノがあった可能性は高いと思います。(ヒメアリガタバチ亜科の仲間で、Epyris属のようですね。 by mita様) 2009年7月下旬 神奈川県川崎市/撮影者:裏庭様