ハチについて

  • はじめに

昆虫は節足動物に属し、分類上は昆虫綱(Insecta)と呼ばれます。昆虫の仲間には、カブトムシの仲間である鞘翅目(コウチュウ目、Coleoptera)や、モンシロチョウの仲間である鱗翅目(チョウ目、Lepidoptera)、オニヤンマの仲間である蜻蛉目(トンボ目、Odonata)などがあります。ハチの仲間は膜翅目(ハチ目、Hymenoptera)といい、ミツバチやスズメバチの他、アリもハチの仲間です。

 

  • ハチってどれくらいいるの?

ハチの仲間は、現在世界で90万種が確認されている昆虫類のうち、コウチュウ目に次いで大きなグループです。約12万種が確認されていて、大きさも0.14mmから5cm程度まで様々です。確認されているのは12万種ですが、地球上での実在種数は少なく見積もって30万種、中には100万から200万種といった推定値も提示されています。日本では1989年の段階で、4200種が確認されていますが、これは実在する日本のハチ類の1/3から1/8程度であると考えられています。

 

  • ハチの分類

ハチ目は、大きく分けて広腰亜目(Suborder Symphyta)と細腰亜目(Suborder Apocrita)に分類されます。ハチといえば、胸と腹の間がくびれているのをイメージすると思いますが、この仲間を細腰亜目といいます。一方、広腰亜目の仲間は、バッタのように胸と腹の間がくびれておらず、広く密着しています。また、細腰亜目は、寄生蜂下目(Infraorder Parasitica)と有剣下目(Infraorder Aculeata)に分類され、さらにそれぞれが上科に分類されます。

 

ハチ目(Hymenoptera)
広腰亜目(Suborder Symphyta)
ナギナタハバチ上科(Xyeloidea)
クシヒゲヒラタハバチ上科(Megalidontoidea)
ハバチ上科(Tenthredinoidea)
キバチ上科(Siricoidea)
クキバチ上科(Cephoidea)
ヤドリキバチ上科(Orussoidea)
細腰亜目(Suborder Apocrita)
寄生蜂下目(Infraorder Parasitica)
タマバチ上科(Cynipoidea)
コバチ上科(Chalcidoidea)
クロバチ上科(Proctotrupoidea)
ハラビロクロバチ上科(Platygastroidea)
ヒゲナガクロバチ上科(Ceraphronoidea)
ツノヤセバチ上科(Stephanoidea)
ミゾツノヤセバチ上科(Megalyroidea)
ヤセバチ上科(Evanioidea)
カギバラバチ上科(Trigonalyoidea)
ヒメバチ上科(Ichneumonoidea)
有剣下目(Infraorder Aculeata)
セイボウ上科(Chrysidoidea)
スズメバチ上科(Vespoidea)
ミツバチ上科(Apoidea)
  • ハチの形態

ハチ目の特徴として挙げられるのは、膜状の4枚の羽を持っているということです。そのほかには大顎型の口器を持っていること、メスにおいては第8、9腹節由来の産卵管を持っていることが挙げられます。しかし、ハチ目の中には、羽や産卵管が退化した種もいます。また産卵管が特殊化して、攻撃や防御のために毒針になっているものもいます。

 

ハチ目の外部形態は、広腰亜目や寄生蜂下目(以下、寄生蜂類)、有剣下目(以下、有剣類)それぞれに特徴があります。ここでは、もっとも身近である有剣類の外部形態についてご紹介します。

 ハチの形態