Euurobracon yokohamae Dalla Torre, 1898 ウマノオバチ

Euurobracon yokohamae

シロスジカミキリの寄生者であるウマノオバチですが、このハチを捕まえて臭いを嗅ぐと、クロウリハムシ?テントウムシ様の臭いがすることをご存じの方はいらっしゃるでしょうか。

今年、この臭いの意味について捕食者に対する防御物質ではないか、また、このハチの派手な色彩は警告色として作用しているのではないかと考えるに至りました。

オニグモを使って実験を行ったのですが、はっきりした結果が出ないうちに、ハチに逃げられてしまいました。数分間の観察でしかありませんが、産卵管が網に絡まってぶら下がった状態のウマノオバチに対して、オニグモはゆっくりと近づきはしたものの、襲いかかりはしませんでした。

N氏を介して、T氏から以下の文献に臭いに関する記述があるとの御指摘をいただきました。両氏に深謝して、今後の参考に致します。

石澤健夫(1933) 馬尾蜂の観察 植物及動物 1(11), 132.

加藤学(2005) 岡山県北部:鏡野町でのウマノオバチの記録と若干の生態記録 つねきばち No.5 21-24.

石澤氏の文献は未見ですが、「盛に異臭のある灰色の濃厚な液体を排出するようになつた」との記述があるそうで、これについてはもう一度確認の必要がありそうです。加藤氏の文献は、『つねきばち』を購読しながら見逃していました。「この揮発性の物質は、野鳥などによる捕食圧を下げるのに一躍(ママ)かっていると思われる」との見解を述べられています。2009年5月10日 栃木県/さびきこり様


Euurobracon yokohamae

ウマノオバチが産卵管を清掃する姿を初めて見ました。長い産卵管を後脚に挟み込んで、一方の脚を支えとし、もう一方でこすりながら送りだしていくようです。慌ててカメラを構えたのですが、ひどい出来で申し訳ありません。撮影時にこの個体は10日以上飼育していました。2006年5月 栃木県/撮影者:さびきこり様


Euurobracon yokohamae

メス。今年も少なからず発生が見られましたが、もうシーズンも終わりらしく、オスの姿は確認できませんでした。以前あちこちに吹聴して回ったのですが、このハチ、つかむとテントウムシ臭いんです。尻尾に触れたくらいでは逃げたりしないんですが、摘むと敏感に反応して逃げようとします。そして、この時(産卵管以外に触れていなくても)やはり独特の匂いが大気中に漂うのを確認しました。

かなり派手な色彩で、大きな体、ということから連想して、やはり防御的な意味があるのかなと思っています。実際速くはないスピードで飛ぶのですが、鳥に突つかれるところは見たことがありません。2006年5月7日 栃木県/撮影者:さびきこり様


Euurobracon yokohamae

メス。2003年 撮影者:さびきこり様


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